生成AIが、以前より身近な存在になってきました。
文章を考えてもらったり、分からない言葉を説明してもらったり、調べ物をしたり。
勉強会で使うスライドの作成にも役立ちます。
私自身もGeminiやChatGPT、Claude、Perplexityなどを使っています。
AIはとても便利です。
しかし、使っていて気になることもあります。
それは、AIが答えた内容を、うっかりすべて正しいと思ってしまうことです。
AIは自然な文章で、もっともらしい答えを返してくれます。
しかし、文章が自然だからといって、内容まで正しいとは限りません。
今回は、リハビリ職が生成AIを使う前に知っておきたい注意点と、私が実際に使って役立った場面を紹介します。
本記事は、生成AIを利用する際の一般的な注意点をまとめたものです。患者情報の取り扱いや業務での利用については、勤務先の規程と最新のガイドラインを優先してください。
生成AIを使うときの6つの注意点
1.AIは自信ありげに間違えることがある
以前、AIを使って切手代を調べたことがありました。
そのとき返ってきた答えは「80円」でした。
80円という料金は昔の情報です。2026年8月現在、定形郵便物は50g以内で110円となっています。
最新の料金は日本郵便の公式サイトで確認できます。
もしAIの回答をそのまま信じていたら、料金不足のまま郵便物を出していたかもしれません。
困るのは、AIが「たぶん80円だと思います」と自信なさそうに答えるとは限らないことです。
間違った内容でも、正しい情報のように自然な文章で答えることがあります。
AIの回答は、完成した答えではなく、確認するための材料として考えたほうがよさそうです。
2.古い情報を答えることがある
切手代のように、以前は正しかったけれど、現在は変わっている情報があります。
例えば、次のような情報です。
- 法律や制度
- 税金
- 郵便料金や商品の価格
- アプリやAIサービスの機能
- 医療や介護に関する制度
- ガイドラインや研究結果
AIは、質問するたびに最新のインターネット情報を確認しているとは限りません。過去に学習した情報をもとに答える場合もあります。
インターネットを検索できるAIであっても、検索結果に古いページが含まれていれば、それを参考にする可能性があります。
変更される可能性がある内容を調べるときは、次のように質問する方法があります。
2026年8月現在の情報を、公式サイトをもとに教えてください。参考にしたページのURLも示してください。
ただし、このように質問しても、必ず正しい答えが返ってくるとは限りません。
表示されたリンクを実際に開き、公式サイトなのか、更新日はいつなのか、書かれている内容がAIの回答と一致しているかを自分で確認する必要があります。
AIの回答を確認するときの3つのポイント
- いつの情報か
- 国・自治体・学会などの公式情報か
- AIの説明とリンク先の内容が一致しているか
3.ネット上の根拠が弱い情報を拾うことがある
インターネットには、国や自治体、学会などが発信した情報だけでなく、個人のブログやSNSへの投稿もあります。
個人の体験談が参考になることもありますが、すべてに十分な根拠があるわけではありません。
以前に書かれた情報が、修正されずに残っていることもあります。
AIは、さまざまな情報を組み合わせて読みやすい文章にできます。
しかし、その中に根拠の弱い説や、誰かの思い込みが混ざっている可能性があります。
特に医療情報では、「インターネットにたくさん書かれているから正しい」とは限りません。
AIに出典を尋ねるだけで終わらず、紹介された論文や資料が本当に存在するか、その内容が回答と合っているかまで確認したほうが安心です。
日本作業療法士協会が、学術誌『作業療法』への投稿者向けに公開している生成AIガイドラインでも、AIが作った情報について、科学的に最新かつ正確であることや、先行研究を正しく参照していることを著者が確認するよう求めています。
4.患者さんの個人情報を入力しない
医療職がAIを使うとき、特に注意したいのが患者さんの情報です。
氏名、生年月日、住所、病院名、具体的な経過など、本人を特定できる可能性がある情報を、個人向けの生成AIへ安易に入力してはいけません。
氏名を消しても、年齢、病名、居住地域、職業、家族構成、珍しい経過などを組み合わせると、本人が推測される可能性があります。
個人情報保護委員会も、生成AIへ入力した情報がサービス提供者に渡り、学習データとして利用される場合があるため、利用規約などを確認して適切に判断するよう注意を呼びかけています。
職場でAIを利用する場合は、自分だけで判断せず、勤務先の決まりを確認する必要があります。
勉強のために症例についてAIへ相談したい場合も、実在する患者さんの情報を少し変えて入力するのではなく、最初から架空の症例を作るほうが安全です。
5.AIで作った画像も自由に使えるとは限らない
生成AIでは、文章だけでなく、勉強会のスライドやブログで使用する画像を作ることもできます。
しかし、「AIが作った画像だから自由に使える」「作った人に必ず著作権がある」とは限りません。
人がどの程度創作に関わったかによっては、生成画像に著作権が認められない可能性があります。
また、既存のキャラクター、写真、イラストなどに似すぎている場合は、他人の著作権を侵害する可能性もあります。
AIで作った画像をスライドやブログなどで公開するときは、少なくとも次の点を確認したほうが安心です。
- 特定の作品や作家をまねる指示をしていないか
- 既存のキャラクターや画像に似すぎていないか
- 他人の画像を許可なくAIへ読み込ませていないか
- 使用するAIサービスが商用利用を認めているか
「AIが作ったものだから問題ない」と考えず、公開する人が確認する必要があります。
生成AIと著作権の関係については、文化庁がチェックリストとガイダンスを公開しています。
6.最終的な判断をAIに任せない
AIは、考えを整理したり、別の視点を出してもらったりする場面で役立ちます。
しかし、患者さんの評価や治療方針をAIだけで決めるものではありません。
患者さんの表情、生活背景、希望、その日の体調など、実際に関わっているからこそ分かることがあります。
AIは、目の前にいる患者さんを直接見ているわけではありません。
AIから提案された内容は、あくまで選択肢の一つです。
その内容を採用してよいかは、専門知識や実際の評価結果、職場の方針などをもとに、人が判断する必要があります。
AIを使って役立った場面
簿記3級の勉強で役に立った
注意点はありますが、AIを使わないほうがよいと言いたいわけではありません。
私は簿記3級の勉強で、GeminiやChatGPTを使いました。
問題集の解説を読んでも、なぜその答えになるのか分からないことがあります。
そんなときに問題を写真に撮ってAIへ送り、分からない部分を説明してもらいました。
AIに質問すると、難しい言葉をかみ砕いたり、計算や考え方を順番に説明したりしてくれます。
一度で理解できなければ、次のように聞き直すこともできます。
もう少し簡単な言葉で説明してください。
簿記を初めて勉強する人にも分かるように説明してください。
なぜこの仕訳になるのか、順番に説明してください。
今回の学習では、AIの解説が間違っていると感じることはありませんでした。
問題集の説明だけでは理解できなかった部分を、自分に分かる表現へ言い換えてもらえたことが役立ちました。
ただし、AIの説明をそのまま正解だと思わず、問題集の正答や公式の資料と照らし合わせることは必要です。
また、市販の問題集を撮影してAIへ送る場合は、教材の著作権やAIサービスの利用条件にも注意が必要です。
教材全体をまとめて送ったり、問題文や解説をブログやSNSへそのまま掲載したりすることは避けたほうが安心です。
AIは「考えるのを手伝ってもらう相手」
AIは、使い方を理解すれば便利な道具です。
例えば、次のような使い方ができます。
- 考えを整理する
- 文章の下書きを作る
- 難しい言葉を分かりやすく説明してもらう
- 勉強する項目を整理する
- 勉強会の構成案を出してもらう
- 自分では思いつかなかった視点を出してもらう
大切なのは、AIを「正しい答えを教えてくれる存在」と考えないことです。
私は、AIを「答えを決めてもらう相手」ではなく、「考えるのを手伝ってもらう相手」として使うのがよいと考えています。
まとめ|AIの回答は確認してから使う
生成AIを使うときは、次の点に注意が必要です。
- AIは自然な文章で間違えることがある
- 古い情報を答えることがある
- 根拠の弱い情報を拾うことがある
- 患者さんの個人情報を入力しない
- AI画像の著作権や商用利用を確認する
- 最終的な判断をAIに任せない
特に、医療、法律、制度、お金、料金など、間違えると影響が大きい情報は、公式サイトや原典を確認することが大切です。
AIに聞いて終わりにするのではなく、「いつの情報なのか」「根拠はどこにあるのか」「公式情報と一致しているか」まで確認する。
そのひと手間を忘れずに、AIと上手に付き合っていきたいと思います。



コメント