先日の地震をきっかけに、入院病棟で働いていた頃の災害対応について思い出しました。
それと同時に思い出したのが、2011年の東日本大震災後に、作業療法士の派遣ボランティアが募集されていたことです。
当時、宮城県などの被災地へ作業療法士を派遣するという案内を見て、

作業療法士は被災地で何をするの?
と考えた記憶があります。
現在、日本作業療法士協会には「災害支援活動人材バンク」という仕組みがあります。
以前の「災害支援ボランティア登録制度」に代わるもので、災害が起きたときに、登録者へ派遣に関する情報が届く仕組みです。
私は現在、災害支援活動人材バンクには登録しておらず、被災地で災害支援活動に参加した経験もありません。
この記事は、先日の地震をきっかけに制度へ関心を持ち、日本作業療法士協会が公表している情報を確認してまとめたものです。
この記事では、災害支援活動人材バンクの登録条件や派遣までの流れ、被災地で作業療法士が担ってきた支援について、協会の公式情報をもとに整理します。
※夜中の地震をきっかけに、病棟での災害対応や家族との関係について考えた記事はこちらです。
「夜中の地震で考えた|作業療法士として患者さんと自分の生活をどう守るか」
東日本大震災では、延べ177人の作業療法士が派遣された
日本作業療法士協会は、東日本大震災の被災者を支援するため、作業療法士を被災地へ派遣しました。
協会の記録によると、現地へ派遣された作業療法士は延べ177人です。
被災した人の生活支援だけでなく、被災県の作業療法士会や、現地で働く会員への支援も行われました。
この経験をもとに、日本作業療法士協会には災害対策を担当する組織が設けられ、その後の災害支援体制の整備につながっています。
被災地で作業療法士は何を支援するのか
災害支援というと、けがをした人への治療や、救命活動を思い浮かべるかもしれません。
しかし、災害後の生活が長くなると、避難所や仮設住宅での暮らしにもさまざまな問題が生じます。
日本作業療法士協会が紹介している過去の活動には、次のような支援があります。
- 避難所の動線や生活環境を整える
- 手すりや仕切りなど、生活しやすい環境を検討する
- 段ボールベッドなどを必要とする人を確認する
- 体操や手工芸、散歩など、身体を動かす機会をつくる
- 避難生活による生活リズムの乱れや活動量の低下を防ぐ
- 身体機能や生活状況を確認し、日常生活動作を支援する
避難生活では、動く機会が少なくなり、心身の機能が低下することがあります。
これは学術用語で「廃用症候群」と呼ばれ、厚生労働省などでは、原因を分かりやすく伝えるため「生活不活発病」という名称も使われています。
作業療法士は、身体機能だけを見るのではなく、その人が避難先でどのように生活しているかを確認し、環境や活動の面から支援します。
ただし、派遣先や災害の状況によって、求められる役割は異なります。登録した作業療法士が必ず上記の活動を行うという意味ではありません。
その頃、働いていた病院では先輩スタッフが数名、参加しました。
私が当時聞いた話では、避難所で集団体操や、身体を動かすための支援などを行っていたそうです。
現在は「災害支援活動人材バンク」という仕組みがある
日本作業療法士協会では、2026年4月から「災害支援活動人材バンク」の規定を施行しています。
以前は「災害支援ボランティア登録制度」と呼ばれていました。
大規模な災害が発生し、国や自治体、都道府県作業療法士会、関係団体などから協会へ派遣要請があった場合、登録している会員へ情報が届きます。
人材バンクへ登録しただけで、自動的に派遣が決まるわけではありません。
派遣に関する情報を受け取った後、参加できる人が改めて応募し、協会との調整を経て派遣者が決定されます。
人材バンクへ登録できる条件
日本作業療法士協会が示している登録条件は、次の2つです。
- 登録時点で日本作業療法士協会の会員であること
- その年度の協会費を支払っていること
登録者には、平時から災害支援に関する研修などを通して、知識を身につけておくことが推奨されています。
協会を退会・休会した場合や、会費の未納などによって会員資格を失った場合は、人材バンクの登録も自動的に抹消されます。
会員ポータルから登録できる
2026年8月現在、人材バンクへの登録は、日本作業療法士協会の会員ポータルから行います。
登録場所は、次の順番です。
- 会員ポータルサイトを開く
- 「登録情報」を選ぶ
- 「会員情報」から「情報変更」へ進む
- 「基本情報2 その他」を開く
- 「協会人材バンクへの登録」を「希望する」に変更する
メールアドレスが古いままだと、災害発生時の案内を受け取れない可能性があります。
登録情報と一緒に、メールアドレスも確認しておく必要があります。
登録方法や画面は今後変更される可能性があるため、実際に登録するときは協会の最新案内を確認してください。
登録から派遣までは4つの段階がある
協会が示している流れを整理すると、次のようになります。
- 希望する会員が人材バンクへ登録する
- 被災地などから協会へ派遣要請が届く
- 登録者へ派遣募集のメールが配信される
- 応募者と協会が調整し、派遣者を決定する
派遣が決まった後、協会と派遣依頼元が調整し、活動場所や内容などの詳細が派遣者へ伝えられます。
災害が起きたからといって、登録者が自分の判断ですぐに現地へ向かう仕組みではありません。
被災地からの要請と、協会による調整を経て派遣されます。
登録することと、実際に参加することは別
人材バンクへの登録は、災害が起きたら必ず参加するという約束ではありません。
派遣情報が届いた時点で、自分が参加できるかを改めて判断します。
災害支援に参加したい気持ちがあっても、仕事を休めるか、家族の安全を確認できるか、自分の体調に問題がないかなど、そのときの状況によって判断は変わります。
被災地を支援するために、自分の生活や家族を無理に犠牲にすることが前提ではありません。
関心がある場合は、人材バンクへの登録を検討し、平時から研修などを通して備えておく。
そして、派遣要請が届いたときに、自分が無理なく参加できるかを考える。
そのような関わり方もできると分かりました。
最後に:まずは仕組みを知ることから始められる
東日本大震災のとき、私は作業療法士の派遣ボランティアが募集されていることを知りました。
しかし、当時は、作業療法士が被災地でどのような役割を担うのか、登録後にどのような流れで派遣されるのかまで理解していませんでした。
今回調べたからといって、私はすぐに人材バンクへ登録すると決めたわけではありません。
実際に災害支援へ参加できるかは、仕事を休めるか、家族や自分の生活を守れるか、そのときの体調はどうかなど、さまざまな状況によって変わります。
それでも、制度を知らなければ、自分にできることや参加する方法を考えることもできません。
まずは災害支援活動人材バンクの仕組みを知り、作業療法士が被災地でどのような役割を担ってきたのかを知る。
今の私にできるのは、そこからなのだと思います。



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